劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜
「この人が兄のオーディン。こっちが弟のテュール。こっちが妹のイズンよ。お兄ちゃんは私と同じ魔法使いで、ルビー・ホース寮にいたの」

楽しげだったフレイヤの表情が曇っていく。フレイヤの口が閉じた。マシューはただ黙って言葉を待つ。数分後、フレイヤは口を開いた。

「お兄ちゃん、行方不明になっちゃったの。私が二年生の時にね。だから私、お兄ちゃんを探すためにーーー」

フレイヤは口を閉ざす。マシューは昼間のオーロラの話を思い出した。彼女が話していたのは、こういうことだったのだ。マシューはフレイヤの手に触れる。

「フレイヤ先輩、そんな顔しないでください。僕には家族がいないから、フレイヤ先輩の気持ち全てがわかるわけじゃないです。でも、僕はあなたの役に立ちたい!」

「……ありがとう」

フレイヤが微笑む。マシューも笑った。

夜風が二人の間をすり抜けていく。マシューの中で心恋が揺れ、木々の深い香りが漂う。フレイヤが息を吐いた。

「明日は大事な決戦の日だし、そろそろ寝ないとね。おやすみ」

「は、はい!フレイヤ先輩、おやすみなさい!」

眠る前にフレイヤと会えた喜びが大きく、マシューの中の不安は消えてしまっていた。
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