その指先が私を誘惑する〜絡めた指先に翻弄されて〜

1.その指先で誘惑しないで

 ゴクリっ⁉︎
 思わず生唾を飲んで喉を鳴らしてしまった私はついに出会ってしまった自分の理想の指先を見つめずにはいられなくなり、つい直視してしまう

 生唾の原因は名取専務だ。大学を卒業した私は名取コーポレーションに就職が決まり、秘書課に配属が決まった

 名取専務の見た目は完璧だ。キリッとしたスーツ姿に、モデル並みの高身長、ツンツンに立った短髪の黒髪に目は少し切れ長なパッチリとした二重で、仕事のできる切れ者だと有名だ

 そして何より指先がとても綺麗で、例えて言うなら今まで探し求めていたものに出会ってしまったような、電流が走るような感覚に陥ってしまった

 なぜそんな感覚に陥るのかと言われれば、他でもない、私が指先フェチだからだ

 白くて細い、それでいて骨張りすぎず、細すぎず、太すぎてもいないその指先は、私の中に雷に打たれたような電流を走らせ、私の心を捉えずにはいられなかった

 でも、ただ秘書室に配属されただけの一介の社員に思いを伝える術もなく、ただただ見つめるだけの毎日を送っていた

 しかも、見つめてしまう理由が私の理想の指先だからだとは口が裂けても言えず、ただ密かに名取専務を思うだけの日々を送っている

 「名取専務。今日の専務のご予定は10時から聖コーポレーションとの会合、その後JHAホテルのラウンジで三谷商事の社長と打ち合わせをして、夜にはDOU社の三谷社長との会食が入っています」

 今日の予定をまだ辿々しく発する私はまだ仕事に慣れていない感が残ってしまっている

 しかもチラチラと見える名取専務の指が気になってしまって、いけないと思いながらも仕事に身が入らずにいた
 
 「今日の予定を伝える時くらいもっと堂々と伝えるように」

 鋭い目でギロっと睨まれてしまい、私は「も、申し訳ありません。以後気をつけます」と自分の身が入らない仕事への姿勢を改めて反省した

 「まあいい。もうこんな時間だ。下に車を出してくれ」

 「はい。かしこまりました」

 (……いけない。専務からの指示がなくても前もって車の手配くらいしておかなければならなかったのに……)

 自分の機転の効かなさと仕事への姿勢を反省した私は急いで車の手配をした
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