炎上代行~キミとなら、最悪でもいい~

第一話 視聴者2人の深夜配信


深夜0時。

私、朝比奈琴音(あさひなことね)は毛布を頭まで深く被って、スマホをそっとベットの淵に立てかけた。

画面にうつるのは、真っ暗闇の中で微かに動く私の影だけ。

顔出しなんて絶対にしない。

身バレしていいことなんて、何一つないから。

じゃあ、なんで配信なんかしてるのって思うよね。

私の場合、友達も少なく陰キャだから、みんなと繋がれる唯一の場所って、配信中に送られてくるコメント欄だけ。

だから、自分の居場所を見つけるために、ひっそりと配信をしている。

私はイヤホンをつけ、小さく息を吸った。

「……こんばんは」

咳払いをしてからしゃべったつもりだったけど、開口一番に出した声はガラガラになってしまった。

視聴者は今のところたったの2人。

コメントもなし。

配信内容だって決めてもいない。

学校では誰にも必要とされず、家でもお母さんに『もっと普通になりなさい』と言われ続けている。

私が何かを言えば、『普通はそんなこと言わない』。

私が何か聞けば、『普通に考えたらわかるでしょ』って。

普通の世界にいるのが息苦しくて、私は配信という形で愚痴を吐き出したかった。

それなのに、私が配信をしたら、いつも書かれるのはアンチコメントばかりだ。

『声、キモ』
『何が言いたいのわからん』
『配信向いてなくない?』
『過疎すぎて草』

やっぱり、私は、何かをしたらいけない人間なの?
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