炎上代行~キミとなら、最悪でもいい~
職員室の空気は重かった。
担任、学年主任、教頭。
そして、机の上には拡散された写真が置かれている。
「渡辺、おまえ、今どういう状況かわかってるか?」
「………」
「朝比奈、おまえもだ。今までひとつも問題を起こしたことのないおまえまで一体どうしたんだ?渡辺に仕込まれたのか?」
「ち、違います!」
必死に反論した。
渡辺くんだけ悪く言われるなんて許せない。
「学校名まで拡散され始めているじゃないか。これ以上騒ぎが大きくなれば、他の生徒にも迷惑がかかるのをわかってるのか!!」
担任の怒鳴り声が耳を貫いた。
「校門前にも、いろんな人が集まってきてる。中には悪い奴らだっているかもしれない。何か事件に巻き込まれてからでは遅いんだぞ!聞いてるのか、渡辺っ!!」
「聞いてるよ!」
反抗的に渡辺くんが叫ぶ。
「迷惑がかかったことは謝るよ。だけどな、俺らがそんな悪いことをしたとは思ってねぇよ」
「なんだと?」
先生が眉間にシワを寄せて、渡辺くんに一歩近づく。
「俺を退学にしたいならすればいい。だけど、朝比奈はなんにも悪くない。だから、朝比奈だけには手を出すなよ」
渡辺くん……。
「君たち」
今まで静かに聞いていた教頭が前に出てきた。
「今の段階では退学とかの話じゃないよ。ただ、今やっている配信をやめなさい。それでも続けると言うのなら、退学という話になるかもしれない」
少し前の自分なら、教頭の言葉に頷いて、今すぐこの場でアカウントを消していたかもしれない。
みんなに見捨てられたくなくて、みんなの言う“普通”を選択していたから。
でも今は、渡辺くんのおかげで変わった自分がいるから。
「……やめたくないです」
先生たちが目を見開く。
自分でも驚くくらい、声はまっすぐだった。