炎上代行~キミとなら、最悪でもいい~
「確かに、私たちがやっていたことは褒められないと思います」
「朝比奈……?」
渡辺くんがびっくりしたような声を出した。
「でも、助けられた人もいます。私も、その中の一人です。絶対に救われた人はいるんです!」
「………」
「だから、先生たちに何を言われても、私たちは配信を止めることはできません!」
「うおっ……」
私は先生たちにそう言い放ち、渡辺くんの腕を引いて職員室を走りでた。
教頭の言うとおり、もしかしたら、退学になるかもしれない。
もっと問題が大きくなるかもしれない。
だけど、今私たちが止めると、悲しむ人だっているはずだ。
みんながみんなアンチじゃない。
渡辺くんは助けを求めてる人を救うって決めたんだ。
その思い、簡単には終わらせない。
私たちは廊下を走った。
最初は私が渡辺くんの腕を引っ張っていたのに、途中から、渡辺くんが前に出て私の手を引っ張っていた。
ギュッと握られる手。
時々私を振り返りながら走る渡辺くんの顔は、意思をしっかり決め、清々しい表情で笑っていた。
私たちは、旧校舎の階段まで一気に走り抜けた。
階段に着くと、同時に階段に崩れ落ちて激しく呼吸する。
「はぁはぁはぁ……びっくりした」
「なに……が?」
「おまえが先生に言い返すとは思わなかった」
渡辺くんに言われて、私は天井を見上げて笑う。
「渡辺くんのせいだよ」
「はぁ?なんで俺のせいなんだよ」
「だって、渡辺くんと出会ってから、逃げるのが嫌になったんだもん」
一瞬、渡辺くんの動きが止まった。
「前の私は、嫌われないことしか考えてなかったんだけど。でも、今は、ちゃんと自分で選びたいって思ってる」
「朝比奈、おまえ……」
渡辺くんが目を丸くして、そして、フッと、柔らかく笑う。