執拗な恋、夜を飲み干す。
───Side 紗希


 目覚めとともに襲いかかってきたのは、猛烈な後悔、そして、凄まじい羞恥心だった。

 たった一杯のカシスオレンジごときで酔っ払い、あろうことか初対面の相手に告白をぶちまけるなんて…、私という女は、もういっそのことこのまま土に還ってしまった方がいいのかもしれない。

 ベッドの上で、土下座の姿勢のまま昨夜の自分を懺悔する。

 どうして私はこうなのだろう。
 人生、どこまで生き恥を晒せば気が済むのか。

 底なしの自己嫌悪に陥り、誰もいない部屋で顔を上げることすらできず、深く、重い溜息を吐いた。

 さらに地獄なのは、中途半端に酔いが冷めていたせいか、昨夜の記憶が断片的に残ってしまっていることだ。

 …痛い。痛すぎる。

 いっそ何もかも忘れてしまいたかった。朝起きて、「あー、楽しかった」なんて何も知らないまま生きていたかった。

 人生初の告白を、会って数分の相手に、あんなにも軽々しく投げつけてしまうなんて…、ああ、本当に恥ずかしい、消えたい。

 そんな思考を何度も何度も繰り返す。

 散々自分を責め抜いて、ようやく少しだけ顔を上げた時、不意に、脳裏に玲さんの姿が浮かんだ。

 優しくて、話し方が柔らかな人だった。落ち着く温度感で、何も知らない私を馬鹿にすることもなく、受け入れてくれた。

 大人の余裕があって、包み込んでくれそうなのに、どこか隙がない雰囲気。

 あんなに最悪な去り方をした後なのに、今思い返しても、やっぱり彼は、溜息が出るほど素敵だった。
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