六点差の向こう側にある優勝

あとがき

この物語を書き始めたとき、私は「勝つこと」や「負けること」がすべての答えになると思っていた。
でも、気づいたのは違った。
88-82というたった6点差の中には、勝敗だけでは測れない時間が詰まっていた。
崩れていくチームも、もう一度繋がろうとする瞬間も、静かに積み重なっていく日常も、そのすべてが“結果”よりもずっと長く心に残っていくものだった。
この物語の中で描きたかったのは、特別な才能や劇的な逆転ではなく、「普通の高校生たちが、どれだけ不器用に、それでも必死に繋がっていくか」ということだった。
バスケットボールは一人ではできないスポーツだと言われるけれど、それは単にパスを回すという意味ではなく、「誰かを信じること」が前提にある競技なのだと、この物語を書きながら何度も思った。
そして、その“信じる”という行為は、勝った瞬間だけに存在するものではない。
うまくいかない日も、崩れそうな日も、届かなかった試合も、そのすべての中に確かに存在している。
だからこそ、88-82は終わりではなかった。
ただの通過点であり、始まりでもあり、そしてずっと続いていく“繋がり”の形だった。
この物語を最後まで読んでくれたなら、きっとどこかに自分だけの88-82があるのだと思う。
それは勝ち負けではなく、誰かと何かを必死に繋いだ時間のことかもしれない。
その時間が、少しでも誰かの中で残ってくれたなら、この物語を書いた意味はあったと思う。
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