逃げられるものならお好きにどうぞ。
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あの後、フードコートで遅めのランチを済ませてから、美代さんと皇さんとは現地で解散した。
私は今、黒瀬くんと二人きりで帰路についている。
時刻はまだ十八時前だけど、この時期は陽が沈むのが早いから、辺りはすでに真っ暗だ。
「それにしても、今日は本当にびっくりしたよ……まさか美代さんが男の人だったなんて」
「そんなに驚いた?」
「うん。だって美代さん、すごく綺麗だし……どう見ても綺麗なお姉さんにしか見えなくて」
事実を知った今でも、まだ信じられないくらいだ。
「そう? 俺には百合子さんの方がずっと綺麗なお姉さんに見えるけど」
「……はいはい。……ありがとうゴザイマス」
「ふっ……はい、どういたしまして」
ふっと息を漏らすように静かに笑っている黒瀬くんの頬を軽くつねってやれば、黒瀬くんの冷たい手に鼻先を軽く摘ままれるという仕返しをされた。
最近では慣れてきたこんなスキンシップが密かに楽しくて、小さな幸せを感じてしまう。