逃げられるものならお好きにどうぞ。
「……そういう三奈はどうなの?」
「私?」
「例の彼氏さんとは、上手くいってるんでしょ?」
三奈にされた質問をそのまま返せば、待ってましたと言わんばかりの笑顔でマシンガントークを繰り出す。
「そう、もう聞いてよ! 彼ね、実は結構シャイな人で、普段は素っ気ない時も多いのよ! だけどね、この前なんて私に内緒で、ケーキを用意してくれてたの!」
「三奈、誕生日だったもんね」
「そう! あ、百合子もプレゼントありがとね!」
「いえいえ」
「それでね、そのケーキなんだけど、サプライズだって言って部屋の飾りつけとかもしてくれてたのよ? しかも料理も手作りで! もうめちゃくちゃかわいくない? 母性っていうの? 何かこう、愛しい気持ちがあふれちゃって……! あっ、それにこの前なんてね――」
三奈の惚気話に相槌を打ちつつ、適温に冷めたオムライスを頬張っていれば、私の後輩にあたる佐々木ちゃんがこちらに駆けてくる姿が目に入ってきた。
彼女は派遣社員の子で、二か月という期間付きで、つい最近ウチの部署に入ってきたばかりだ。
デスクが隣同士なこともあって、業務の合間に雑談を繰り広げることもある。とてもいい子であることには違いないんだけど……。