逃げられるものならお好きにどうぞ。
「俺、着物を着た百合子さんと写真が撮りたいな」
「そんなの……もちろんだよ。一緒にいっぱい撮ろう」
「あとは、嵐山にも行ってみたいかな」
「うん、もちろん行こう!」
「それと、宿で一緒にお風呂に入りたいな」
「うん、もちろんいいよ。……ん?」
「ほら、こことか。客室露天風呂付きだってさ」
さっきからスマホで何を調べていたのかと思えば、宿をリサーチしていたみたいだ。
見せてくれた画面には、確かに、“客室露天風呂付”の文字がある。色浴衣の無料レンタルのサービスなんかもしているらしい。
思わず頷いてしまったけど、黒瀬くんとお風呂に入るの? ……二人きりで?
そもそも私たちは、まだ――いわゆるキス止まりというやつで、そういうことは致していない。そう考えると、二人で旅行に行くってことは、つまり……。