逃げられるものならお好きにどうぞ。
「あはは、美代さんってば……自分が皇さんに素直になれないからって僻まないでよ」
「はぁ? 私は優しいから、教えてあげてるのよ。しつこい男は嫌われるって知らないの?」
最早恒例となっている黒瀬くんと美代さんの言い合いが勃発しそうになったけれど、チェックインの手続きを済ませていた皇さん達が戻ってきてくれたことで事なきを得た。
そして――ロビーで荷物を預け終えた私たちは、旅館の最寄り駅から電車に三十分程揺られて京都河原町駅で下車し、そこから数分歩いて祇園四条までやってきた。
少し遅くなってしまったけれど昼食を摂ろうという話になり、私と黒瀬くんで行こうと思っていたお店に皆で向かうことになったのだ。
「美代さん、これ見てください。豆すし膳って言って、一口サイズのお寿司を色々楽しめるんですよ」
「へぇ、可愛いじゃない」
駅から徒歩五分程で着くそのお店では、一口サイズの豆すしを食べることができるらしい。
並べられた様々な寿司ネタは色鮮やかで、SNSに上がっていた写真を見ているだけでも、その可愛らしさに心が躍る。
スマホの画面を見せれば、美代さんもテンションを上げてくれたみたいだ。