逃げられるものならお好きにどうぞ。
お喋りをしながら目的のお店までのんびりと歩いていた道中、不意にポツリと言葉を漏らしたのは、皇さんだった。
「だが、嬢ちゃんたちは色々と計画を立てていたんだろう? オレたちとは別行動でもいいんじゃないか?」
――どうやら皇さんは、私たちに気を遣って提案してくれたみたいだ。
けれどそれに異議を唱えたのは、美代さんと萌黄さんだった。
「えぇ、せっかくですし、皆で回りましょうよ! ……慎二さんと二人きりならともかく、おまけまでいるのよ。三人で回るなんて絶対に嫌」
「おーい、もしかしておまけっておれのこと? 小声で言っても、おれにはばっちり聞こえてるんだけどなぁ? つーか椿ばっかり可愛い女の子とイチャイチャデートとか、ズルいじゃん? だから、断固はんたーい!」
「そうよ! 私だって、デートするなら、し、慎二さんと……」
ぽっと色づいた頬に手を添えて皇さんに熱視線を送る美代さんに、ぶぅぶぅと口を尖らせて「反対!」と繰り返している萌黄さん。
そんな二人の姿に、提案者である皇さんは「ったく、オマエら……」と嘆息している。
――もしかしたら皇さんって、色気むんむんでちょっぴり強面の厳つそうな雰囲気には似合わず、なんて言ったら失礼かもしれないけど……意外に苦労性なのかもしれない。