逃げられるものならお好きにどうぞ。


「ふぅ、美味しかった。お姉さんは、本当にそれだけで足りるの?」

「うん、十分だよ。お腹いっぱい」



私の倍以上の量を先に食べ終わった黒瀬くんは、頬杖をついて私が食べる様子を見ていた。

かと思えば、紙ナプキンを手にとって、私の口許に手を伸ばす。



「お姉さん、口にソースが付いてたよ」

「っ、い、言ってくれれば、自分で拭くから……!」

「ふっ、もう拭いちゃったよ」



年下の男の子の前で口許にソース付けたまま食べていたとか、恥ずかしすぎる。

顔に熱が集まるのを感じながら、残っていたシェイクを一気に飲み干す。



「……ご馳走様でした! ほら、もう行こ!」

「うん、そうだね」



クスクス笑いながら私の後をついてくる椿くんは、絶対に性格が悪いと思う。確実に私の反応を見て愉しんでいる。


……年上をからかって、失礼な奴め。

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