逃げられるものならお好きにどうぞ。
「あの……」
「ん? どうした?」
「皇さんは、皇組の若頭さん、なんですよね?」
「あぁ、そうだ」
「その、普段はどういうことをなさってるんですか? えっと、もし大丈夫なら、聞ける範囲でいいので知りたいなって……」
密かにずっと、気になっていたことだ。
皇さんはヤのつくお仕事をしていて、黒瀬くんの雇人のような立場に当たる人だと聞いた。私の中では、ヤのつくお仕事=乱暴な行為で収入を得ている集団ってイメージがあったけど、こうして関わってみれば、皇さんがそういったことに加担しているとは思えないのだ。
「そうさなぁ……まぁヤクザって一口にいっても、組によって、やってることは多少なりは違うな。ウチでは、金融屋から飲食店、風俗店なんかまで色々な店舗の運営をしてる。あとは、そうだなぁ……祭りでテキ屋をしたり、用心棒なんかをすることもあるぞ?」
「用心棒、ですか? 何だか格好いいですね」
「はは、んな格好いいもんでもねーけどな。椿はウチに所属してるわけじゃなく、ただ俺との個人的なビジネスパートナーってだけだが、手が足りない時なんかは、嬢ちゃんが格好いいっつー用心棒の仕事を手伝ってもらうこともあるな」
皇さんは躊躇する様子もなく、仕事のことについて色々な話を聞かせてくれた。
といっても、そこまで踏み込んだ話をしてくるわけでもない。一般人の私が聞いても問題ない程度の話を聞かせてくれているんだろうなって、伝わってくる。