逃げられるものならお好きにどうぞ。
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道中で買った抹茶味の飴を口内でころがしながら八坂神社にやってきた萌黄拓斗は、数メートル先にいる椿の表情を見て、内心で(あちゃ~)と頭を抱えてしまった。
――表情が、完全に抜け落ちている。目にハイライトがない。
椿を纏う重苦しい空気がこちらまで伝わってきて、ピリピリと肌を刺す。
これは揶揄うとかちょっかいをかけるとか、そういったふざけた発言をする雰囲気ではない。
やったら最後、こちらが別の意味で殺られてしまうだろう。
あえて空気を読まない発言をすることが多い拓斗でも、さすがに空気を呼んで不要な発言は控えることにした。
ここまでキレている椿を刺激するほど、馬鹿ではないので。
というか、まだ死にたくはないので。