逃げられるものならお好きにどうぞ。
「うん、お盆休みに実家に帰省しようかなと思ってるんだけど、椿くんは予定とかあるのかなって」
「うーん、俺は特にないかなぁ」
「そっか。……あのね、椿くんさえ良ければなんだけど……」
「うん?」
いつか提案してみようと考えていたことを、今なら言えるかもしれないと、思いきって口にしてみる。
「……一緒に、ウチに遊びにこない?」
「え? 百合子さんの地元にってことだよね? ……俺も付いていっていいの?」
「うん。その、椿くんさえ嫌じゃなければ、両親にも会ってもらえたらなって、思ってたんだけど……」
――さすがに嫌かな? 付き合ってるだけの関係で、家族に会ってほしいとか……重いとか思われたらどうしよう。
一瞬、ネガティブな考えが脳裏を過ぎったけど、椿くんの顔を見たら、そんな考えはすぐに吹き飛んでしまった。