逃げられるものならお好きにどうぞ。


「ごめんごめん、怒らないでよ」

「……別に怒ってないよ」



――ただ、やっぱり椿くんにはいつだって翻弄されっぱなしだから、それがちょっぴり悔しいだけで。



「それで、百合子さんは夏に何か予定があるの?」



私が食パンをトースターにセットしていれば、椿くんは冷蔵庫からミルクを取り出してコップに注ぎながら、さっきの話題に触れてくる。

ついさっきまで蠱惑的な匂いを纏わせていたけれど、すっかりいつも通りの雰囲気に戻っている。……とりあえず、空気を換えることには成功したようで何よりだ。

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