逃げられるものならお好きにどうぞ。
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椿くんと買い物をしていれば、パラパラと雨が降ってきた。
朝の天気予報では終日晴れになっていたから、多分通り雨だろう。
傘は持ってきていないから軒下まで移動して、近くのカフェにでも入ろうかと椿くんと話していれば、見慣れた後ろ姿を遠目に見つける。
「あ、佐々木ちゃんだ」
「佐々木ちゃん?」
「うん。職場の後輩で、今度一緒に出張に行く子だよ」
私の視線の先を追った椿くんが、微かに息を呑む気配がした。
「……憂美さん?」
椿くんが、誰かの名前を口にする。多分、女性の名前だと思う。
でも、佐々木ちゃんの下の名前は優芽で、“ゆみ”という名前ではない。