逃げられるものならお好きにどうぞ。


「でも綺麗な人でしたね。お二人のお知り合い、なんですよね?」

「……ああ、まあな」

「ただの顔見知りよ。そんなことより、ほら、ちょうど来たわよ。早く食べましょ」



店員さんがランチセットとアイス珈琲を運んできてくれた。

二人とも言葉を濁して、話したくなさそうな雰囲気を出しているため、憂美さんについてそれ以上詳しく聞くことはできなかった。


でも憂美さんに言われた最後の言葉が、どうしても引っ掛かる。



“貴女が彼にとっての、呪いにならなきゃいいけれど”



“彼”とは誰のことだろう。

そう考えた時に真っ先に思い浮かんだのは、大好きな椿くんの顔だった。


私が椿くんと一緒にいることで、椿くんが嫌な思いをするってこと? でも、どうして憂美さんがそんなことをわざわざ私に伝えてきたんだろう。それに、美代さんたちと顔見知りっていうことは、椿くんの知り合いでもあるかもしれない。


美代さんたちに話を聞きたいところだけど、それを聞けば、二人を困らせてしまう気がして……。


今は胸の中に広がるモヤモヤとした感情に蓋をすることにして、トマトやバジルが綺麗に盛り付けられているパスタを一口頬張った。


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