逃げられるものならお好きにどうぞ。
「……あの、どこに行くんですか?」
「黙ってついてこい」
尋ねてみたけど、男性は答えてはくれない。
仕方なく口を閉じてついていけば、男性は奥の方にあるプリクラコーナーに真っ直ぐ向かっていく。
そして、一番手前にあるブースの中に入ってしまった。
――え、この中に入るの?
足を止めてしまえば、私がついてきていないことに気づいた男性が、怖い顔をしてブースから顔を出した。
「おい、何してる。さっさとしろ」
「え、でも……」
「二度は言わねぇぞ」
――これ以上とやかく言えば、何をされるか分からない。
そんな雰囲気を肌で感じ取った私は、慌ててブースの中に足を踏み入れた。
すると、ブースの中に扉があった。
耳をすませば、扉の向こう側から、微かに音楽のようなものが聞こえてくる。
男性が扉を開ければ――その先に広がっていたのは、薄暗いバーのような空間だった。