逃げられるものならお好きにどうぞ。
「黒瀬くんは……もっと欲張ってもいいと思うよ。だって、誕生日なんだから」
ぽろりと口から零れ落ちた言葉は、本心からのものだ。
「うーん、それじゃあ……欲しいものがあるんだけど」
「うん、何?」
今すぐに用意するのは難しいだろうけど、多少値が張る程度の物なら、奮発してプレゼントしてあげよう。
そう思って黒瀬くんからの返答を待てば、飛び出してきた言葉は予想外のもので。
「キスしてもいい?」
「……えーっと、キスって…「だめ?」
熱で僅かに潤んだ瞳にじっと見つめられて、何故だか悪いことをしているような、良心に訴えられているような気持ちになってしまう。