逃げられるものならお好きにどうぞ。

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朝の出社前。

普段より早く目が覚めてしまった私は、時間をつぶすために、鏡台やデスク周りの整理整頓をしていた。



「よし、これでいいかな。あ、この腕時計……懐かしい」



引き出しに入っていたのは、黒の革バンドに、丸い時計盤がついた、シンプルなデザインの腕時計。



――今から時をさかのぼること、約一年前。

椿くんが記憶をなくしてしまうという騒動があった。


……あれから、もう一年も経つんだ。時間の流れが瞬く間に感じる。


あの時、私は椿くんの記憶を取り戻す方法が知りたくて、一人で憂美さんの誘いにのったんだよね。

これは、その時に皇さんが手渡してくれた腕時計だ。


この腕時計には、何と盗聴器とGPSが仕掛けてあったらしい。

それを使って私の位置情報を把握していたみたいだし、それが証拠となって、違法な薬を開発していた裏社会の人たちを捕まえることができたみたい。

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