逃げられるものならお好きにどうぞ。


後日、馴染みの“Bar curación”で会った皇さんに「これは嬢ちゃんにやる。何かあれば使ってくれ」って貰っちゃったんだけど……盗聴器やGPSなんて特に使う機会もないから、引き出しの中に大切に仕舞っておいたんだ。


この機能を使ったことはないけど、せっかく頂いたものだから、腕時計として使わせてもらうことはあった。

だけど、あきらかに男物のこれを手首に巻き付けていると、誰かさんの機嫌が悪くなっちゃうから……最近は全然使っていなかったんだよね。



私は迷った末、手中にある腕時計を手首に巻き付けて出社した。

始業十五分前につくと、先にきていた佐々木ちゃんに声をかけられる。



「百合子先輩! おはようございます!」

「佐々木ちゃん、おはよう」



今日も元気いっぱいの佐々木ちゃんは、相変わらず私の可愛い後輩であり、癒し的な存在でもある。


ちなみに憂美さんは、あの日以来、姿を見てはいない。

少し心配だったけど、佐々木ちゃんからお姉ちゃんは海外に行っているのだと教えてもらった。

とりあえず元気にはしているみたいだったので、それには安心した。

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