Fahrenheit -華氏- Ⅲ


そうだよ


あたしが啓を守る為に計画した筈なのに―――


あたしが自ら二人の仲を壊すことをしちゃったから


だからこれが罰なんだよ。


あたしが啓を裏切った―――









あたしは携帯を手にしながら体を起こそうした。


けれどアルコールのせいか、それとも薬か、それとも両方か、


体がふらついて、起き上がるふしにガラステーブルでしたたか頭を打ち付けた。


ガシャンっ!


派手な音を立てて、落ちたのはワインボトルとグラスで…


「ッつ……」


打った場所を押さえて顔だけをあげる、そして派手な音を立てて割れたワインボトルとグラスが転がった床に視線を戻した。


あたしはその割れたボトルに無意識に手を伸ばした。




これが罰


なら




償わなければならない




あたしの血で


あたしの





命で





あたしは割れたワインボトルを掴んだ。


痛みは感じない。


ただ、手のひらで掴んだ場所から血が滴り落ちて、ラグに赤黒い染みを作る。


―――死にたいの?


ううん、違う。


そうじゃない。



そうじゃないけど……




体を傷つければ、


心の傷を忘れられる。



だから……



だから傷つけるの―――


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