Fahrenheit -華氏- Ⅲ
流れるようにキスをして、CMが終わってもついばむようなキスを繰り返し
「始まっちゃいましたよ」と唇が離れた瞬間瑠華がテレビ画面に顔を向けたが、俺はその顔を強引に俺の方に向け、再び瑠華にキス。
「ちょっと…始まってますって…」瑠華は息継ぎのときに苦笑いをしたが、俺は止める気がなく、瑠華の肩から背中に腕を回し彼女をそっとソファに倒した。
瑠華の細くて白い首筋に顔を埋めると
「始まってますってば」とくすくす瑠華が笑う。
「録画してあるから大丈夫」と俺は言い訳。
「でも、ちゃんと観たいです」
ぐい、と両頬を包まれテレビの方に向かされ
「は~い」俺は苦笑いでテレビの方を向く、
そして再びポッキーを食べ、赤ワインを飲み、映画が終わった後互いに感想を述べる。
大抵
「「あの場面最高」」
と意見が合った。
「あの、ピンク色のドーナツを食べる瞬間、凄く好きです」と瑠華が笑い
「俺も好き。色がすっげーきれいで食べたくなる。Theアメリカ人って感じで。でも朝からドーナツって糖分録り過ぎじゃない?」
「気にしてたらあそこで生きていけないですよ、Theアメリカ人は。まぁあたしはアメリカにいるときも朝食は食べない派でしたが、その分夜たくさん食べるので」
「たくさん食べる瑠華も可愛かったんだろうな~、てかたくさん食べても太らない性質羨ましい」と瑠華のウェストをきゅっと抱きしめると
「その分、筋トレはしていたので…と言うかくすぐったいです!」瑠華は心底くすぐったそうに笑い
「女性のお腹を触るのは嫌われますよ」とくすぐったかったのか涙目になって笑っていた。
「嫌われたら困る」と言い俺は慌てて手を離したっけ―――
少し前の記憶なのに、もうだいぶ昔のように思える。
俺はソファにごろりと寝転がった。白い天井を仰ぎながら、手を翳す。
瑠華の見たその視界の中、俺の姿が映っていたに違いない。
でもこうやって見上げると、俺の目には瑠華の姿が映らない。
瑠華を抱きしめたい。
彼女の髪に、指に、肌に―――触れたい。
彼女の香りをいっぱいに感じたい。
ぬくもりを共有したい。
「瑠華―――」
愛する人の名前を呼んで、俺は今日ここで眠ることにした。
想い出のいっぱい詰まった場所で。
夢でもいい。
君の姿が見たい。
夢でもいい。
俺を見て、笑ってくれ。
愛してる