Fahrenheit -華氏- Ⅲ


葵さんが指定したのは東京郊外にある


水族館―――……?


合ってるわよね…と葵さんが送ってくれた住所を再度確認したが、間違いない。


『MIRACLE水族館PARK』と書かれたアーチの下、目をまばたき、アーチの向こう側に大きな公園のように広がっている土地と生い茂る樹々をしげしげと眺めた。夏場は緑色がきれいなのだろう、紅葉の前のシーズン、緑色と茶色が混在していて微妙な色合いだった。


左右に広がる広大な公園の奥に灰色の建物がある。そこが水族館なのだろう。


「瑠華ちゃ~ん!」と背後から声を掛けられ、振り返るとベージュと黒のタータンチェックのシャツの上にミルクティーベージュのパーカー、ジーンズと言う格好の葵さんが、ぶんぶん手を振ってかけよってきた。


「良かった!瑠華ちゃんいつもと雰囲気違うから声掛けるの一瞬迷ったけど、振り返ってくれて良かった」


と言われあたしは今日の格好をまじまじと見直した。


今日は薄い色合いのブラックジーンズ、黒のざっくり編みVネックのニット。髪は……巻く時間がなかったからラフに後ろでまとめただけ。アクセサリーは、黒バンドのCHANELの時計ボーイフレンドと同じくCHANELの左手人差し指のリングだけ。バッグはこっくりとしたモスグリーンのロエベ。


仕事じゃないし気合いを入れる必要もない。


「そうゆう格好も似会うね」と葵さんは走ってきた。


「どうも。それより二村さんの情報とは?それに何故ここでする必要があるのですか」


と怪訝そうに顎を引くと


「あー、それ嘘」


と葵さんは舌をぺろりと出した。


嘘?


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