Fahrenheit -華氏- Ⅲ

「心音、ありがたい話だけど心音を犠牲にしてまであたしは…」


『犠牲?何言ってンの?あたしはあたしがしたいようにしただけ。だってジェイクって顔はいいし体もいいし、金持ちだし連れて歩くのは最高じゃない?あー、カルティエ本社を買い取ったぐらいアクセサリーみたいな価値があるの。幸いにも向こうもあたしのこと気に入ってくれたみたいだし♪』


まぁ心音はあたしが自慢したい程の美人でスタイル抜群だけど。


「結婚を迫られなかった?彼、婚活中みたいよ?」皮肉気に言ってやると


『婚活?ああ、瑠華に結婚を断られたってちょっと落ち込んでたわ。だけどあたしとはあくまで”気軽”な関係を求めてるって。そう言うハッキリしてるとこもあたしにとってはポイント高いかも~、どうやら彼にとって遊び相手と結婚相手は別のようね。かといって結婚してから遊ぶことは考えてないから結婚したらこの関係も終わりって言われたけどね。アジア系の女はああゆうタイプの男にモテるってわけね。従順で大人しい』


あっそ。


何だかんだ気が合いそうねあなたたち。てか心音が従順で大人しい?まぁ彼女は血はアジア系だけど殆どアメリカ人だから、ジェイクもその辺見抜いたのかしら。


『まぁさっきは”脅す”て言葉を使ったけど、瑠華はあたしの大事な友達よ?そんなあたしとこんな関係になっていいの?って言っておいたら、彼は苦笑して『If you'll just shut up, what do I have to do?
(黙っておいてくれるなら何をすればいい?)』って言ってきたの。だから『Don't move the money invested in Ruka's company.(瑠華の会社に投資したお金は動かさないで)』って』


心音……それは立派な脅しよ?


『ジェイクは本気であんたが好きみたい。だから嫌われたくないんでしょうね~。あ、でも結婚はあの子無理よって言っておいたから安心して?』


心音が電話の向こうでウィンクするのが分かった。


「心音―――ありがとう……」


『いいのよ♪こっちもオイシイ思いしたわけだからウィンウィンでしょ♪』


「そうね、今は様子見ってとこかしら」


ジェイクは投資の件から手を引かなかった。彼の気持ちが今後どう動くかは分からないけれど。


このまま三月まで引っ張っていければ―――




あたしの口元ににやりと笑みが浮かんだ。


あたしの手元に有益なカードが揃いつつある。



スリーカード。



まだまだカードをオープンする気にはなれないが、二村さんを倒すのに近づいてきた。


待ってなさい。


今のうちにせいぜい笑っていればいいわ。







あたしが後できっちり地獄を見せてあげる。



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