Fahrenheit -華氏- Ⅲ
考えたい事はたくさんあったが、本来約束していた三光商事との打ち合わせは思ったよりスムーズに終わった。なるべく三人のことを考えないよう頭から追い払い、目の前の気の優しそうな中年サラリーマンに愛想を振りまき、集中することに努めた。
打ち合わせは30分程で終わった。
その後、自部署に戻って仕事をするも全く身に入らない。
一向に進まない先ほどの打ち合わせの書類作成をしていると、「ただいま戻りました」と瑠華が帰ってきた。ちらりと時計を見るとキッチリ一時間。
『どこへ行ってたの?用って何?』って気軽に聞けたら……てか前だったら聞けた筈なのに…
無関心のフリをするの、最近疲れるよ。
しかし瑠華は何事もなかったかのように仕事を再開させる。
その日の午後、俺は気になり過ぎて仕事が散々だった。
翌日。
20XX年12月15日木曜日
朝イチのメールチェックをしていると、何通もの取り引き業者の問い合わせのメールに混じって人事部のメールがあった。
“----- Original Message -----
From: 人事部
To: 一斉送信
Sent: Wednesday, December 14, 2011 07:15 PM
Subject: 12月15日本社辞令につきまして”
と言うメールのタイトルにに俺は目をしばたたかせた。この時期に辞令?異例なことだ。
内容は
“関係者各位
12月15日を持ちまして、下記の社員の異動をご報告いたします”
神流グループ本社㈱ 秘書課 瑞野 みゆき
神流グループ㈱本社外資物流管理部へ出向、とする。
へ!?
見間違いかと思って俺は目をこすりPCに顔を近づけもう一度良く見たが、一言一句俺が最初に読み上げた内容と変わりない。
瑞野さんが外資に出向!!!!?