Fahrenheit -華氏- Ⅲ
少女漫画のコーナーは、
ごめんなさい、どれを見ても同じ絵にしか見えない。
やたらとキラキラしていて、ほとんどが主人公?と言うのか女の子(或は女の人)と男性が描かれていてラブラブな雰囲気。
私が永遠に惹かれる恋愛ものは「サウンド・オブ・ミュージック」や「ローマの休日」、「マイ・フェアレディ」
だめだ…古すぎる。現代の恋愛脳にアップデートできてない自分にがくりとくる。
ロマンス映画は好きだし、前のあたしは恋愛小説や映画が大好きだった筈なのに…
まぁ、前とは言ってもマックスと結婚する前のことで。
夢みたいな出来事が現実にあるわけないのだ、とそのとき気付いた。
あたし、冷めてるって言うのかな。
仕方なしに、何となく流れでその隣の棚の少年漫画コーナーに移動して、そこには売り出し中なのか、平積みにされたシリーズものの漫画が並べられていて、積まれた漫画本の上に小さなテレビモニターがあった。
そこからアニメの動画と
『~♪愛を取り戻せぇえ』
とメロディが流れてきて
「……」
あたしは足早にその場を立ち去った……つもりが何故か後ろ向きで戻っていた。
~♪『YouはShock』
ええ、あたしはショックを受けてます。言われなくても。
~♪『俺との愛を守る為 お前は旅立ち
明日を 見うしなった
微笑み忘れた顔など
見たくはないさ
愛を取り戻せ』
「………」
何か……何故だろう、心に染みる。
あたしはその漫画の一巻を手にとった。
少女漫画と違って全体的に線が太くてごつごつした感じ。
こうゆうの興味がなかったけど…
何だかこの歌が脳を支配して離れない。
微笑み忘れた―――か……確かに忘れたかもしれない。いや、置いてきたのだ。NYに。それを取り戻せたのに、また失った。
「柏木さん―――……?」
男性の声が聞こえて、無意識に肩に力が入った。