Fahrenheit -華氏- Ⅲ


「July, you've gotten a little bigger. You're heavier.
(ユーリ、ちょっと大きくなったわね。重くなったわ)」あたしはユーリを抱き上げると、ユーリははにかみながら笑い、しかしHeavier.(重くなった)と言われたのがちょっと気に入らなかったのか


「My mom's a tiny little thing.(ママがちっちゃくなったんだよ)」と可愛らしく頬を膨らます。


「Yeah,Mom is so tiny without Yuri.(ふふ、そうね。ママはユーリがいなくてちっちゃくなっちゃったわ)」と笑いかけ、ユーリのお餅のような柔らかな頬を撫でると


「It's a lie, Mom is not getting smaller.(うそ、うそ。ママはちっちゃくなってないよ)」とぎゅっと首に巻き付いてくる。「Mama smells good.(ママの匂い、いい匂い)」と言って首筋にすりすりと頬をよせてくる。ユーリの柔らかな髪が首筋を撫でくすぐったくも嬉しい。


それは昔の写真の中、成長を想像するだけの姿ではなく、またマックスのSNSの写真とも違った。相変わらず人形のように愛くるしく砂糖のように甘くミルクのようにまろやか。


「Mom, did Mom miss July?(ママ、ママはユーリに会いたかった?)」


ちょっと顔を離してあたしに聞いてくるユーリは少しばかり不安そうだった。


ユーリはママがユーリのことを嫌いになったから一緒に暮らせないと思ったのだろうか。


「I missed you so much. I love you too.
(ママはとってもユーリに会いたかったわ。ユーリのこと愛してるもの)」ユーリの陶器のようなすべすべの額に額をこつんと合わせるとユーリはくすぐったそうに笑った。


そしてその影をすっぽりと包む大きな影にもあたしは笑いかけた。


「It's been a while Tim. Thanks for bringing July along.
(ティムも久しぶりね。ユーリを連れてきてくれてありがとう)」


「Ruka, I'm glad to see you too.(ルカ、俺も会えて嬉しいよ)」と人相は悪いが……笑うともっと極悪顔になるのは気のせい?でも昔のティムそのもので嬉しい。


「Ruka, I suggested it.(瑠華、俺が提案したんだよ)」と。


こいつの存在は忘れてたわ。てか今すぐ帰ってくれないかな。ユーリとティムだけを残して。


と思っていると


TRRRR…


バッグの中でスマホが着信を鳴らした。


「心音かしら。Excuse me, Tim. Yuri, please.(ごめん、ティム。ユーリをお願い)」とティムにユーリを預けると


あたしはバッグからスマホを取り出した。


スマホには見知らぬ番号が記載されていた。


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