Fahrenheit -華氏- Ⅲ
二杯目のスコッチが注ぎ入れられ、あたしは無言で口を付けると
「Hey,Luye.(なぁルーイ)」とマックスの顔が近づいてくるのが分かった。
「I told you not to call me by that name. If you ever call me that again, I will never look at your face again.(その名前で呼ばないでって言ったでしょ。今度呼んだら二度とあんたの顔を見ないから)」
冷たく言ってやると
「OK, Scary.(分かったよ、怖いなぁ)」と言いながら顔は笑っていた。その整った横っ面を張り倒してやりたい。
「It's especially cold tonight. Why don't you change your plans and come to my bedroom?
(今夜は特に冷える。予定を変えて俺の寝室にこないか?)」
マックスの言葉にとうとう我慢ができずにあたしは立ち上がった。
訂正:張り倒すじゃなく、一発グーで殴ってやりたくなった。
「Don't make fun of me! I'm not your whore!
(バカにしないでよ!あたしを娼婦か何かと勘違いしてるかもしれないけれど!)」
「Whore? I've never looked at you that way.
(娼婦?まさか。君を一度もそんな風に見たことはないよ)」マックスは至極真剣に言った。
あたしは持っていたスコッチのグラスにぐっと力を入れた。
「Using a woman for your house is disgusting.(あんたの家の為に女を利用するなんて最低ね。
I am not such a cheap woman.
あたしはそんな安っぽい女じゃない。
Don't lick a woman!
女舐めるのも大概しなさい!)」