Fahrenheit -華氏- Ⅲ

そっと寝室に入るとナイトライトだけ照らし出したオレンジ色のほのかな明かりの中クイーンサイズの左側でユーリが心地よさそうに眠っていた。手にはあたしがあげたクマのぬいぐるみが抱かれている。


毎日一緒に寝てくれてるのね、嬉しい。


「ふふっ、可愛い。あたしのお姫様」


あたしは小さく呟きそっと反対側の羽毛布団をめくってユーリの隣に入り込んだ。


お酒も入っているしすぐに眠れるかと思った。けれど大好きなユーリと何年ぶりにこうして隣り合って寝られるのだろう。気分が高揚してなかなか寝付けなかった。


時間だけが無情に過ぎて行っても、愛する我が子の顔を見つめているだけで心が満たされていく。


そうだ、一枚写真を……


と思って枕元に置いたスマホを取り出し、しかしユーリの写真を撮る前にあたしは何故だかSNSを開いていた。


今夜、瑞野さんと啓がどこに行ったのか気になる。


記事を上げてないかもしれない。でも女の勘て言うのかしらね。きっと瑞野さんは二村さんに自分だって違う男性と一緒にクリスマスを過ごしたことを載せてる筈。


案の定、瑞野さんは新しい記事を上げていた。


そこはここじゃないホテル―――に見えた。あたしは目を凝らした。いくつか料理の写真と最後の一枚を目にして思わず息を呑んだ。


男性の方はスタンプで顔は隠されていたけれどさっき見た啓のスーツだったし、第一顔を隠したところであたしが啓の写真を間違えるわけがない。その隣でまるで恋人のように寄り添って写っている瑞野さん―――


嘘―――!


この二人ホテルに行ったの?


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