Fahrenheit -華氏- Ⅲ


その二分後、裕二から


『朝から怪文書(あ、怪メールか)?暇なの?お前』と


その一分後に


『今開発してる新作メニューのこと?ちょうど良かった。お昼に試食しにこない?』


嗚呼…


ガクリ、となっている俺を、またも瑠華と佐々木二人が顔を見合わせ目をぱちぱちさせている。


面倒なので、俺は三人の質問に一気に答えるため一斉送信した。


----- Original Message -----
From: 神流 啓人
To: (麻野 裕二)(木下 綾子)(桐島 宏明)
Sent:Fryday, November 4, 2011 09:07 AM
Subject: Re:Re:Untitled


綾子→お前のスリーサイズなんてどーでもいい。

裕二→俺は暇じゃない。心の声を誤送信しちまった。すまん。

桐島→行く。


と一通に全ての返答をして、最後に


“話したい事がある。外で会うのはマズイ。

俺の家に来てほしい。19時会社の地下エントランスに集合してくれ”


と手短に打つと


その後返信が綾子と桐島は、話したいことの理由を特に聞いてくることはなく


『了解』とだけ返ってきたが


裕二だけは


『お前!綾子のスリーサイズが気になるだとぉ!』


『だから、どーでも良いって返しただろうが!』


『どーでも良いって、人のオンナのことどーでも良い呼ばわりするな!』


『だったら何て答えりゃいいんだよ!俺は来れるのか来れないのかだけ聞いてんだよ!』


『綾子も行くんなら当然俺も行くに決まってんだろ!』


『あそ、じゃぁまた後でな』


朝からメールでぎゃんぎゃん喧嘩している俺と裕二。何やってんだか、俺……


「あのぉ……また何かトラブルでもありました?」


と佐々木が心配するように眉を下げておずおずと聞いてきて


よっぽど怖い顔つきをしていたのだろうか、俺が顔を上げると佐々木はちょっとだけ身を後退させた。


瑠華は―――我関せず。と言った感じで顔を上げることなく黙々と仕事にとりかかっている。


つ、冷たい…



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