Fahrenheit -華氏- Ⅲ
「Well... that's true. But I was totally sure Coco was coming, so I was really looking forward to it.
(それは……そうだけど。でもあたしはてっきり心音が来ると思って楽しみにしてたのよ)」確かにユーリに会えたことは本当に嬉しかった。でも心音にも会いたかった。本心だった。
『Wow!嬉しいこと言ってくれるわ。実はね、今あんたのマンションにいるの』
は?
「何で?」
思わず素になって聞いてしまうと
『んー、あたしもマックスたちと合流してクリスマス過ごそうかと。一人じゃ寂しいし。それに緩衝材にもなるじゃない?マックスに電話したら夜中遅くにホテルから帰って行ったって聞いたから家に帰ったのかと思って』
「So what?(だからって…)」
相変わらず心音は破天荒だ。
「I'll go back right now. Don't move from where you are. Got it? And stay put.
(とりあえず今すぐ戻るわ。その場から動かないで。いいわね?あと、大人しくしてて)」まるで子供に言い聞かせるような物言いに電話の向こうで心音が肩を竦める仕草をしているのが分かった。
心音との通話を切ると、まだ立ち去っていなかった葵さんに向かって
「アメリカの友人が日本に来たみたいなので、私はこれで帰ります。葵さんも今日はゆっくり休んでください」
「それって男?」
葵さんが口を尖らせる。
「幼馴染の女の子です。日本に不慣れなので私は急いで戻ります」
「そっか~、クリスマス本番だしね。友達が会いに来てくれるなんて瑠華ちゃん愛されてるね」
愛されてる、発言に私は思わず苦笑い。
とりあえず早く帰らなきゃ。