Fahrenheit -華氏- Ⅲ

それでもお風呂に湯が溜まると心音の提案通り一緒にお風呂に入ることに。


思えば心音と一緒にお風呂に入るのっていつぶりだろう。高校生のとき入ったことは覚えてるけれど。


まぁだいぶ昔はと言え今更恥じる仲ではない。


しかし……心音の服の脱ぎっぷりは相変わらず豪快で、しかもプロポーション抜群だからこっちの方が恥ずかしくなる。


「何、もたもたしてるの。早く脱いじゃってよ」と急かされるし。もう、勝手なんだから。


心音はどこから持ち出したのか泡を立てた風呂に浸かりながらシャンパンのボトルとグラスを掲げ、


「Christmasとは言えばシャンパンよね♪」と言いバスタブから窓枠に続く置き場に置いて勝手に注いでいる。


「あたし昨日結構飲んだのよ、それに疲れてるし。水の方が良い」と進言するも


「いいじゃん、付き合ってよ」とまたも我儘。爽やかなシャボンの中、ほんの少しブドウの香ばしい香り。それはほんのりピンク色をしていてきれいだった。


もぉ、勝手なんだから。それでも憎めないのは不思議な魅力だ。シャンパングラスの中、シュワシュワと細かい気泡が下から上へと昇っていくのを見ていると、クリスマスと言う特別なイベントだからか、呑み過ぎたからと言ってもやはり美味しそうに見えた。


「Cheers!(乾杯)」と言ってあたしたちはバスタブで乾杯。


心音がシャンパンを飲む度、白くて細い喉がごくりと動いて凄くセクシー。しかも飲むの早いし。


一杯目を早々に空にして二杯目を注いであげると


「どうしたの?いつもより飲むの遅いじゃない」と心音が不思議そうに首をかしげる。


「だから疲れてるって言ったでしょう?」ちょっと眉根を寄せると


「マックスと何かあった?」


「マックスとは勿論喧嘩してきたけどそれ以外にも色々ね」


バスタブのヘリに肘をつきため息を吐き、あたしは昨日の出来事を心音に話聞かせた。


―――――

――


「はぁ!?ケートが事故!」


「まぁ大した怪我じゃなかったから良かったんだけど。腕を窓ガラスで切ったぐらい」


「ある意味しぶとそうだしね」と心音は苦笑。しぶとい、ってのはちょっとあるかもしれないわね。


あの人、地球が滅亡しそうになっても一人だけ生き残っていけそうだし。

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