Fahrenheit -華氏- Ⅲ


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「ええ!?昨日そんなことが!?……そう言えば昨日やたら二村くんスマホ見てたような…」


俺は事故に遭った所から瑞野さんが駆け付けてきて、何故か彼女とホテルに泊まったことを聞かせた。


瑞野さんはSNSにそれを載せ、二村がファックスを送ってきたことも。


「そう言えば二村くん……途中でお酒が切れたとかで近くのコンビニに行くって言ってました。でも冷蔵庫の中にまだビール入ってたから変だなと思ってたんですけど……違う種類のお酒が飲みたくなったのかなってぐらいしか思ってなくて」


緑川が身を縮める。


まるで自分が悪いことをした様に見えた。


「いや、お前は何も知らなかったわけだし仕方ないよ。で、ここからが本題なんだが、お前が協力してくれたら二村から自ら自供させることができる」


「あたしの―――協力?」緑川はマスカラで縁取った目をパチパチさせ探るように目を上げる。


「大したことじゃない。ちょっとした演技をしてもらえればいい」


「演技……葉月にできるかな」と緑川は不安そうにきょときょとと視線を泳がせた。


俺は思わず苦笑。


「もうすでに二村に演技してるだろ?妊娠してるって」


「……まぁ、そうですけど……」


「頼むよ、頼れるのはお前しかいない」


この言葉が効いたのか緑川はパっと顔を上げテーブルの端を握ると


「分かりました。葉月は何をすればいいんですか?」


俺は明日の計画を緑川に聞かせた。


緑川とは一時間少しと言う時間で別れることになった。そう長々と話したりする関係でもない。


「じゃ、また明日」と店の前で別れようとすると


「はい、頑張ります!」と緑川は両手でぐーを握った。


はは……頼もしい限りだが、しっかりやってくれよ?すべてはお前に掛かってるんだからな。


しかし、瑠華もよくこんな作戦考えたよな。緑川を利用して二村から自供を得る。運が良ければ二村と緑川の間にも亀裂が入る。


流石だぜ。


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