真昼の星空
広哉がテーブルに肘をつきながら聞く。
「どうやって見つからないようにしてたの?」
陽は少し考えてから答える。
「スマホ変えて、番号変えて、SNS全部消して。引っ越して。多分会社やめた時に完全に誰にも分からなくなったと思う」
指でテーブルをなぞる。
「もう25以前の私写真も何もかも残ってないの。」
少し間。
「今の仕事の方も一切本名も最初の頃は顔も出さずにやってて。今は、イベントとかやってるから写真出ちゃってるけど。」
凌が小さく言う。
「徹底してる」
陽は苦笑する。
「今思うと、そこまでしなくてもって思うんだけど」
視線を落とす。
「当時はまさくんと別れる未来なんて少しも想像した事無かったから」
グラスを持つ手に少し力が入る。
「どうにか気持ち離さなきゃって。」
圭祐が静かに聞く。
「ついて行こうとは?」
陽は小さく頷く。
「一緒に行こうって言ってくれてたんだけど」
雅人の方を見ずに話す。
「ちょうどまさくんにその話をされた日に私のニット雑誌に載せたいってオファーが来てて」
少しだけ笑う。
「嬉しくてまさくんに報告しようとしてた日だったの。」
広哉が大きく息を吐く。
「はぁ…」
テーブルに視線を落とす。
陽は続ける。
「だから素直に応援するとも、行くとも言えなくて。」
指先でグラスの縁をなぞる。
「話せば話すほど別れる方向に話しが行っちゃって」
雅人が小さく言う。
「ほんとに。」
少しだけ笑う。
「別れたい訳じゃないのに。」
向かい側では美海がハンカチを目に当てている。
希も黙ったまま涙を拭いている。
陽はその様子を見て少し笑う。
「別れる事になってからは、もう前に進むしかないし、」
ゆっくり言葉を選ぶ。
「行かなかった事後悔しないために、
行かなかった未来を正解にしないといけないから。」
小さく肩をすくめる。
「もう必死」
笑う。
少しだけ強がるように。
「私のせいで行かないとかもやだし。」
広哉が陽を見る。
「その最近まで付き合ってた人とはいつわかれたの?」
陽は静かに答える。
「まさくんに会う三ヶ月前に別れたの。」
少し間。
「3年半付き合ってた人と」
凌が思わず聞き返す。
「3年半?」
美海の声が少し高くなる。
「そんなに付き合ったのになんで?」
陽は少しだけ笑う。
「好きな人が出来たんだって」
テーブルの上の指先が止まる。
「しょうがないよね。それで別れた」
誰もすぐに言葉を出せない。
沈黙。
グラスを持つ音だけがする。
雅人がぽつりと言う。
「俺にとってはいいタイミングだったし」
少し照れたように笑う。
「結婚してなくてほんとによかった。」
圭祐が頷く。
「確かに。」
「どうやって見つからないようにしてたの?」
陽は少し考えてから答える。
「スマホ変えて、番号変えて、SNS全部消して。引っ越して。多分会社やめた時に完全に誰にも分からなくなったと思う」
指でテーブルをなぞる。
「もう25以前の私写真も何もかも残ってないの。」
少し間。
「今の仕事の方も一切本名も最初の頃は顔も出さずにやってて。今は、イベントとかやってるから写真出ちゃってるけど。」
凌が小さく言う。
「徹底してる」
陽は苦笑する。
「今思うと、そこまでしなくてもって思うんだけど」
視線を落とす。
「当時はまさくんと別れる未来なんて少しも想像した事無かったから」
グラスを持つ手に少し力が入る。
「どうにか気持ち離さなきゃって。」
圭祐が静かに聞く。
「ついて行こうとは?」
陽は小さく頷く。
「一緒に行こうって言ってくれてたんだけど」
雅人の方を見ずに話す。
「ちょうどまさくんにその話をされた日に私のニット雑誌に載せたいってオファーが来てて」
少しだけ笑う。
「嬉しくてまさくんに報告しようとしてた日だったの。」
広哉が大きく息を吐く。
「はぁ…」
テーブルに視線を落とす。
陽は続ける。
「だから素直に応援するとも、行くとも言えなくて。」
指先でグラスの縁をなぞる。
「話せば話すほど別れる方向に話しが行っちゃって」
雅人が小さく言う。
「ほんとに。」
少しだけ笑う。
「別れたい訳じゃないのに。」
向かい側では美海がハンカチを目に当てている。
希も黙ったまま涙を拭いている。
陽はその様子を見て少し笑う。
「別れる事になってからは、もう前に進むしかないし、」
ゆっくり言葉を選ぶ。
「行かなかった事後悔しないために、
行かなかった未来を正解にしないといけないから。」
小さく肩をすくめる。
「もう必死」
笑う。
少しだけ強がるように。
「私のせいで行かないとかもやだし。」
広哉が陽を見る。
「その最近まで付き合ってた人とはいつわかれたの?」
陽は静かに答える。
「まさくんに会う三ヶ月前に別れたの。」
少し間。
「3年半付き合ってた人と」
凌が思わず聞き返す。
「3年半?」
美海の声が少し高くなる。
「そんなに付き合ったのになんで?」
陽は少しだけ笑う。
「好きな人が出来たんだって」
テーブルの上の指先が止まる。
「しょうがないよね。それで別れた」
誰もすぐに言葉を出せない。
沈黙。
グラスを持つ音だけがする。
雅人がぽつりと言う。
「俺にとってはいいタイミングだったし」
少し照れたように笑う。
「結婚してなくてほんとによかった。」
圭祐が頷く。
「確かに。」