気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
玄関を開けると、ひんやりした空気が迎えてくれる。
「ただいまー!」
「ただいま」
それぞれ靴を脱ぎながら、今日買ったお土産をテーブルに並べる。
「今日だけで何キロ歩いたんだろ」
「結構歩いたよね」
「足痛い……」
茉尋がソファへ倒れ込む。
その様子を見て、柊弥さんが笑った。
「中学生でも疲れるんだ」
「東京歩きすぎです」
「まだまだだなぁ」
「柊弥さん、絶対元気すぎます」
そんな他愛もない話をしていると、希遥さんが何かを思い付いたように立ち上がった。
「あ!」
みんなの視線が集まる。
「今日さ」
希遥さんがにっと笑う。
「夜、花火しない?」
一瞬の静寂。
次の瞬間、
「やりたい!」
茉尋が今日1番大きな声で答えた。
その反応が嬉しくて、みんな自然と笑顔になる。
「じゃあ決まりだね」
柊弥さんが頷く。
「テラスならできそうだし」
「俺去年買った残りあった気がする」
想くんが思い出したように言う。
「さすが!」
「……褒めても何も出ない」
「じゃあアイス!」
「まだ食うのか」
また笑い声が広がる。
今日という日が終わるまで、あと少し。
でも、この夏の思い出は、まだ終わりそうになかった。