気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
気付けば、空は少しずつ夕焼け色に染まり始めていた。
「もうこんな時間?」
スマホを見ると、時刻は17時半。
歩いて。
食べて。
笑って。
あっという間の1日だった。
「楽しかった?」
帰り道、私が聞くと、茉尋は少し照れくさそうに笑った。
「うん」
その一言だけで十分だった。
電車に揺られながら、みんな少しだけ静かになる。
希遥さんはスマホで今日撮った写真を見返していて、
「これ見て!」
と突然笑い出す。
「茉尋くん、めっちゃいい笑顔じゃん!」
「ちょ、見せないで!」
「嫌だね〜」
「希遥さん!」
「ほらほら、想も見て」
「俺はいい」
「とか言いながら絶対見てる」
「見てない」
「嘘つき」
いつもの言い合いに、車内でも思わず笑ってしまう。
桜ノ木ハウスへ帰る頃には、空はすっかりオレンジ色になっていた。