気付けば、隣にいた - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
ラウンジはいつも通り混雑している。
私と同じように外を見て、雨の様子を伺う人もチラホラ。
奈瑠は帰って、私は1人。
傘は、ない。
バスも混んでるだろうし、駅まで少し歩かなくちゃいけないし。
少ししたらやむだろう、そう思い、私はラウンジで雨宿りをすることにした。
15分程して、奈瑠からバイトに無事ついたと連絡がきた。
靴がびちゃびちゃだけど、と。
雨はまだやまない。
その時。
「何してんの」
後ろから聞き覚えのある声がした。
「…想くん?」
「やっぱり」
「何が?」
「いや、見覚えあるやついるなと思って」
「傘がなくて帰れないの」
「天気予報見なかった?」
「見たけど忘れたの」
「お前らしいな」
「うるさいなぁ」
「買えばいいのに」
「高いじゃん」
「600円くらいだろ」
「600円あったらお昼買えるもん」
「知らん、傘を持ってこればいい話だろ」
「想くんはそういうこと言う」
「実際そうだろ」
「そうだけど…」
雨は相変わらず強い。
窓ガラスを叩く音が、ラウンジの中まで聞こえてくる。
私は椅子に座ったまま外を眺める。
想くんは少し離れた場所に鞄も肩に掛けたまま立っていた。
帰るつもりだったんだろう。
でも外の雨を見て、小さくため息をついている。
この雨じゃ、さすがの想くんも様子見なのかもしれない。
すると。
「想ー!」
少し離れたところから声が飛んできた。