気付けば、隣にいた  - 無愛想な同居人は、不器用に優しい。 -
振り返ると、1人の男子学生がこちらへ歩いてくる。

明るい茶色の髪。

人懐っこそうな笑顔。

想くんとは真逆のタイプに見える。


「あれ?」


その人は私を見るなり首を傾げた。


「誰?」

「聞き方」


想くんが呆れたように言う。


「いやだって女の子じゃん」

「当たり前だろ」

「え、彼女できた!?」

「違う」


即答だった。

事実だけどちょっと失礼。

私が少しむっとすると、その人は慌てて手を振った。


「あ、ごめんごめん!そういう意味じゃなくて!」


全然フォローになってない。


「同居人」


想くんが短く説明する。

するとその人は目を丸くした。


「前話したろ」

「…え!?あの!?」

「あの?」

「女の子の同居人できたって言ってたじゃん!」

「声でかい」


想くんが露骨に嫌そうな顔をする。

なんだか見ていて面白い。


「初めまして!」


その人は私の方へ向き直った。


「成瀬逸晟。建築学科です」

「あ、初めまして。真田 茉桜です」

「へぇー!」

「何」

「いや、想の周りにいるタイプじゃないなと思って」

「どういう意味」

「そのままの意味」


想くんは呆れた顔をしている。

でも、逸晟さんは気にした様子もなく笑っていた。

確かに。

この2人が仲良くなった経緯は、少し気になるかもしれない。


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