君の不器用な願い事は、ただ真っ直ぐに紡がれる。

貴方に私の何が分かりますか?

「貴方に私の何が分かりますか?」

突き刺さる言葉になってしまった。でも、この人には、私の今なんて、分かるはずがないんだ。

「あんたの心は、俺は知らない。知らない」

「知らないのに、何で……」

少し間を置いてから、常磐さんは話し始めた。

「俺の、兄弟の事なんだけど」

「俺の姉は、もう死んでる。死んでる、じゃない、死なせられた」

声が震えている。

「イジメで、死なせられた。姉さんをイジメたアイツらさえいなければ、姉さんは今頃夢を叶えてた」

イジメ。その言葉が出てきて、ギクリとする。

「姉さんは、すごい頑張り屋で、目標とかもちゃんと持ってて。小説家になりたいっていう、夢を。姉さんの文章力は、俺が一番知ってた。日記も毎日付けてるし、ネタ帳だって持ってた」

俺はイジメられている子に同情する人だって、示したいの?

「姉さんは、奇抜な発想力があったんだ。それをバカにするヤツが出てきて、姉さんはイジメられた。人と人が食い違うのは、仕方のない事だと思う。でも、どんな理由があったって、イジメはしちゃいけない」

「ちょっといい」

私は話を途切れさせた。

「何」

「イジメを、知ってるつもりでいるみたいだけど。貴方は、イジメってどういうものか、理解できてるの?」

「俺は知らない。気持ちは知らない。でも、姉さんが死ぬのだけは、嫌」

やめてよ、泣かせないでよ。最近、私、泣くのが多すぎるんだよ。

「ううっ……」

泣いてしまった私に、常磐さんはハンカチを差し出した。

「ごめん。言い方、悪いけど。星野は、『あれ』されてるんだよね」

本っ当に、言い方も真っ直ぐすぎる人。さっきまで泣いていたのに、ちょっと私は苦笑した。変なの。

「まあ。『あれ』はされてるけど」

「そっか」

それっきり、常磐さんは何も言わなかった。「じゃあ」と一言だけ残して、行ってしまった。
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