君の不器用な願い事は、ただ真っ直ぐに紡がれる。
第二章〜涙、ちょっとの温かさ。〜

私が消えたら、貴方は悲しむのかな。

作文発表会が終わった後、帰りの支度をする。

窓の外には夕焼けがうつし出されていて、(この言葉は初めて使う)エモい感じを醸し出している。


窓に映った自分の瞳を自分の瞳で見つめた。

——常磐さんの言ってた通り、暗い瞳かも。


かもじゃない、本当にそうだった。

私が暗いから、いじめられてるのかな。


んん、いや。


そうじゃないと思う。イジメの被害者が悪くないのは基本だ。でも、イジメの加害者は?綺花ちゃんは?悪いのかな。


綺花ちゃんは強い。言いたいことをはっきり言えるもんな。


それに対して、私はどうなの?


強いの?弱いの?普通なの?


「はいじゃ席着いてー。」


先生の陽気な掛け声で、みんなが席につく。


「これから帰りの会を始めます。起立!」


綺花ちゃんとは、小学校も同じだった。確か、幼稚園も同じだった気がする。

綺花ちゃんは今とかわらずオシャレで、クラスの華だった。男子からも時々ラブレターを靴箱に入れられたりしてた。

地味で、ボソボソ声を出す私とは全然違って、綺花ちゃんは可愛かった。


幼稚園までは、いい友達同士でいられたんだ。一緒に本を読み合う仲。


小学校では、なぜだか知らないけれどだんだん距離が遠くなっていった。


「さようなら!」


いつの間にか挨拶が終わっていた。早っ!てか、私の考え事が長すぎたのか。


「部活、頑張ってなー。帰宅部はすぐに帰るんだぞ、寄り道なしだ」



ちなみに、私は帰宅部。あらあら真面目ちゃんが何してるのって思うかもしれない。

でも、私には、『ある仕事』がある。大したことじゃない。



それは、家に帰ってから、お母さんがしていない家事をすることと、


……荒れ気味の姉(私の学校は私立の中高一貫校。姉は高等部)に、暴力を振るわれないように気をつけること。


二つ目は結構大変かも。姉は元々癇癪持ちで、気に入らないことがあるとすぐに人にあたる。でも、お父さん(亡き)とお母さんの前では、絶対に手を出さないのだ。

しかも姉は成績優秀、容姿端麗のため、非常に可愛がられていた。



それに対し私は、陰キャでブサイクだ。成績はまあまあ良かったけれど。


あ、こんなこと考えてるヒマなんてないんだっ。


日頃頑張ってくれてるお母さんに感謝の気持ちを素直に伝えるには、この方法しかないよ。



私は急いで荷物をまとめて、教室を足早に出た。


「ただいま」

良い感じの声で自分が帰ってきたことを告げる。

「お帰り薫ちゃん〜」

ご機嫌な声がリビングにこだます。うん、今日は良いことがあったのかも。

「なんか嬉しかったことあったの、お姉ちゃん?」

「そうなのそうなの!」と声高に叫ぶお姉ちゃん。どうやら、こうらしい。


クラスにあるモテモテなイケメンがいるらしく、その子に告白され付き合えた。


意外な彼の秘密も分かったらしく、「ツンデレなのよ!最高〜」とうっとりしていた。

わ、私には、恋というものが分からない。

「薫ちゃんは、恋をしたことないのね〜」

こういうときには、当たり障りのない返事をしてっ。

「うん、そうなんだ。まあぁ、気になる男の子はいるかも……?」

「わぁ、そうなのね♪薫ちゃんは良い子だし、カッコいい人見つかっちゃうかもしれないわね〜」

「ありがと……。告白は、まだちょっと難しいかもだから、自分磨きをしてみる」

「その調子よ!」


よし、これで一応終了。

次は、夕飯作りと洗濯と掃除。


手先は器用じゃないけれど、根性だけはあるのが私。

自分の特技をいかして頑張ろう。


そして、汗をだらだら流した状態で家事は終わった。


やっと、自由時間だー。

これからはゆったりと自分の部屋で宿題と小説の執筆に取り組める。

ユーザーネームは、『薫風』。くんぷうって、自分で言うけどおしゃれ。


数字だけで小説の良し悪しを決めるものじゃないけど。

最近、ランキングにも載ったんだ!コメントもいくつかもらえた。


『感情描写が良かったです』『ヒロインの表情、絵がないけれど分かったような気がするんです!』などなど。

それが励みになって、もっともっとって、思える。


それからどんどん書いていって、あっという間に夜になる。は、早すぎる。
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