尊い推し兄弟に愛されてます!?
その日の放課後。
私が昇降口で靴を履き替えると、ゆずくんがやってきた。
「いっちゃんお待たせ!」
「ううん、全然待ってないよっ」
ゆずくんに、一緒に帰ろうと誘ったのは私の方。
帰り道なら自然に話せると思ったし、家で向かい合って話す勇気はまだなかったから。
でもゆずくんはいつもの笑顔で、それを見るだけで胸が苦しくなる。
「いっちゃんから帰ろうなんて、珍しいね?」
「うん……ゆずくんと話したくて」
その一言で、ゆずくんは何かを察したようだった。
「そっか……。でも嬉しいな、いっちゃんが誘ってくれるなんて」
私たちは何気ない会話をしながら駅まで行き、ホームで電車を待っていた。
すると、二人組の他校の女子高生が私たちに近づいてきた。
「あのっ!この前玲央くんと雑誌に載っていた生徒会長さんですか!?」
緊張した面持ちで私を見つめる。
「え、あー……ハイ」
「やっぱりー!声掛けてよかった!」
女の子たちは喜び合っていた。
こういう時どう反応したらいいのかわからなくなる。
玲央くんになった気分だな……。
「しかもこっちの方って、もしかして玲央くんの……」
「うん!弟の柚希でーす!」
横でゆずくんが愛想よく答える。
「えー!やっぱり!……あの噂は本当だったんですね!?」