大学生♀×小学生♂のペア



 
「あんまり馬鹿にするから大人を見せつけに」
 
「性格悪い」


 れねと慶太は、夕方駅近くのバーに居た。

 ほの暗い店内に付いた小さな明りのカウンター席に、わざと物憂げに座りながら、お洒落したれねは小声で笑った。


「小学生と大学生じゃ、来る店が違うんだよ」

「そんなの最初から知ってる」

「お姉さんはデートはこういうロマンチックな所に行くんだよ。慶太も大人になったらそうなさいね。」


 子供連れのれねを店員は訝しげにしている。


「林檎のお酒とオレンジジュースで」


 れねが緊張した顔をしている慶太ににやにやしながら言うと、慶太が怒り笑いをした。

 
「大人だって見せつけにだって。ただのアル中の癖に。どこ連れてくかと思ったら性格悪い。」

「いやさ、丁度時間が余ったから」

 
 れねは笑いながら細いグラスのカクテルを一口飲んだ。

 静かな店内にはお洒落な客がぽつりぽつりと居る。
 掛かっている音楽は物憂げなジャズで、上質なカーペットの床は音楽を吸収していた。

 
「こういう所にいつも来るって、ほんと?」


 慶太がちょっと困った様な表情で、小声で聞いた。

 れねがケラケラ笑いながら、


「冗談。普段はファミレスとかマック。見せつけに来ただけ。」


 と言うと、

 慶太は心底嫌そうな顔でそっぽを向いて、


「ハイハイ。子供で悪かったね」


 と呟いた。
 



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