大学生♀×小学生♂のペア
慶太がれねを連れて行ったのは、そこからちょっと歩いた、引っ込んだところにある小さなカフェだった。
黒いお洒落な看板に、黒猫、と書いてある。
日陰になった店内には居心地の良さそうな2人席が沢山あった。
「高い店だと困るなあ」
「へいき。僕カード持ってきてるから。」
ゆったりとしたソファの2人席に腰掛けながら、慶太が言った。
「アイスティー、ケーキセット2つ」
「子供のくせによくカフェなんかチェックしてる。私慶太位の頃駄菓子屋しか行かなかったよ」
無駄口を叩くれねを目顔に見て黙らせて、慶太はテーブルに頬杖をついた。
薄暗い店内で見る慶太の顔は整っていて美しくて、れねは、自分も今慶太の様に綺麗に見えるだろうか、とちらりと思った。
「なに?」
綺麗な顔が傾いて、慶太が首を傾げた。
「いや……」
「こういう所に、前かられねと来たかったんだ」
それから、
「僕が駄菓子屋に通ってるって、本気で思ってんの?」
と怒り笑いで聞いた。
「週1位は」
「行かないよ。友達いるから、全く行かない訳じゃないけど。僕の事なんか勘違いしてない。」
「別に……仮に駄菓子屋行っててもいいと思うよ、慶太は」
「僕も別に悪いとは言わないけど。僕、」
慶太は言葉を切った。
「親のカード使って、色んなお店行ってるんだ。ここも何回も来てる」
「へえ……」
「知らなかったでしょう。」
れねが黙っていると、慶太は突然真面目な顔をして、
「れねが知らないこと、もう沢山知ってるよ」
と言った。
「どういう意味?」
「別に。」
慶太は運ばれてきたレモンティのレモンをストローで沈めながら、
「僕は僕でもう充分成立してるっていう事」
と続けた。
「だからそれどういう意味」
慶太は黙ったまま、済まし顔でケーキを切り分けてアイスティーを飲んだ。