友達のまま
第1話:優しくて悲しい嘘
「なぁ、アミ。俺たち、ずっと世界で一番の『友達』でいような」
夕暮れの放課後。
誰もいなくなったオレンジ色の教室で、幼馴染の翼(つばさ)は、窓枠に肘をついたまま、悪戯っぽく笑ってそう言った。
西日に照らされた彼の横顔が、あまりにも眩しくて。
私は胸の奥がチクッと激しく痛むのを隠すように、わざと小さく唇を尖らせてみせる。
「……何それ、急に。そんなの、言われなくたって分かってるよ」
それが、私の精一杯の『嘘』だった。
名前の通り、私は彼のただの「アミ(友達)」でしかない。
生まれた時から、ずっと隣にいた。
家が隣同士で、手を繋いで幼稚園に通って、小学校も中学校も、正式にこの高校も、気づけばいつも翼の背中を追いかけていた。
誰よりも彼の近くにいる自信があったし、誰よりも彼のことを知っているつもりだった。
翼が笑うタイミングも、怒る癖も、コーヒーには砂糖を二つ入れることも、全部、私が一番最初に覚えたんだ。
だけど、高校生になって、翼の背中がどんどん大きくなって、学校中の女子から黄色い悲鳴を浴びるようになっていくたびに、私の胸の奥には、名前のつかない真っ黒な感情が、澱(おり)のように溜まっていくようになった。
本当は、分かっている。
この胸の痛みの正体が、何なのか。
(私は、翼のことが――好きだ。誰よりも、愛してる)
夕暮れの放課後。
誰もいなくなったオレンジ色の教室で、幼馴染の翼(つばさ)は、窓枠に肘をついたまま、悪戯っぽく笑ってそう言った。
西日に照らされた彼の横顔が、あまりにも眩しくて。
私は胸の奥がチクッと激しく痛むのを隠すように、わざと小さく唇を尖らせてみせる。
「……何それ、急に。そんなの、言われなくたって分かってるよ」
それが、私の精一杯の『嘘』だった。
名前の通り、私は彼のただの「アミ(友達)」でしかない。
生まれた時から、ずっと隣にいた。
家が隣同士で、手を繋いで幼稚園に通って、小学校も中学校も、正式にこの高校も、気づけばいつも翼の背中を追いかけていた。
誰よりも彼の近くにいる自信があったし、誰よりも彼のことを知っているつもりだった。
翼が笑うタイミングも、怒る癖も、コーヒーには砂糖を二つ入れることも、全部、私が一番最初に覚えたんだ。
だけど、高校生になって、翼の背中がどんどん大きくなって、学校中の女子から黄色い悲鳴を浴びるようになっていくたびに、私の胸の奥には、名前のつかない真っ黒な感情が、澱(おり)のように溜まっていくようになった。
本当は、分かっている。
この胸の痛みの正体が、何なのか。
(私は、翼のことが――好きだ。誰よりも、愛してる)