友達のまま
だけど、私たちは世界で一番の『友達』だ。


友達のままでいれば、どれだけ距離が離れたとしても、私たちは一生、お互いを裏切ることも、別れて赤の他人になることもない。


「……アミ。お前、東京に来たら、絶対に俺の部屋に泊まりに来いよ」


翼はノートを見つめたまま、低く、どこか切なげに掠れた声でそう言った。

「他の男と旅行に行くのは許さねぇけど、お前は俺の最高の『アミ』だからな。いつでも歓迎してやる」


翼のその言葉を聞いた瞬間、私は胸が締め付けられるような愛おしさで、涙が溢れそうになった。

あぁ、やっぱり翼も、私と同じなんだ。


彼も私を一生失いたくないからこそ、あえて『最高の友達』という言葉を使って、2人の間に引かれた安全な境界線を、必死に守ろうとしてくれている。


お互いに、相手を誰よりも深く愛しているのに。


恋人になっていつか終わりを迎えてしまう未来が、何よりも怖いから。


だから私たちは、笑顔の奥に狂おしいほどの想いを隠したまま、『ただの友達』として生きていく。


「あったり前じゃん! 翼が東京のオシャレな女子にうつつを抜かしてないか、私が定期的に監視しに行ってあげるよ!」


私はわざと明るく笑って、翼のノートの端っこに、小さく落書きをしてみせる。


翼はそれを見て、ふっと優しく、どこか全てを悟ったような愛おしそうな目で私を見つめ返した。


言葉には出さないけれど、私たちの『一番優しい嘘』は、この静かな図書室の中で、世界の果てまで続く本物の物語(ロマン)へと変わっていく。


別れを恐れて、永遠を信じるための、嘘つきな私たちの、冬の日の静かな約束。
< 12 / 14 >

この作品をシェア

pagetop