友達のまま
第6話:行かないで⋯⋯!
季節が流れるのは、私たちが思っているよりもずっと早かった。
あのゲリラ豪雨の夏が過ぎ、あっという間に秋の文化祭が終わり、気付けば教室の窓の外には、冷たい冬の青空が広がっている。
3年生の冬。
進路が決まり、もう学校に来る日数も残り少なくなった放課後、私は翼と2人で、誰もいない図書室の窓際の席にいた。
ストーブの静かな微熱だけが満ちている静寂の中で、翼はノートにシャープペンシルを走らせる手をふと止めて、外を見つめた。
「……なぁ、アミ。春からさ、俺、東京の大学に行くことになったわ」
翼の口から静かに告げられたその言葉に、私の指先が、小さく震えた。
分かっていた。翼が東京の大学を目指して、ずっと夜遅くまで必死に勉強していたことも、私が地元の短大に残ることも、全部、最初から分かっていたはずなのに。
「そっか……! すごいじゃん、翼! ずっと行きたがってたもんね、おめでとう」
私は、喉の奥に込み上げてくる強烈な寂しさを、いつもの笑顔の仮面で強引に押し殺して、彼を祝福した。
東京と、地元。
春からは、もう毎日の放課後に、こうして当たり前のように隣にいることはできなくなる。
(寂しいよ。行かないで。私の届かないところへ、遠くへ行っちゃうなんて嫌だ――)
心の中で、何百回も、何千回も、そんなワガママな独占欲が叫び声をあげて、私の胸を激しくかきむしる。
だけど、次の瞬間、私の頭の中に、いつか2人で約束したあの言葉が、静かなブレーキとして鳴り響いた。
(いいんだ。これで、いい。もし私たちが普通の恋人同士だったら、この遠距離恋愛の寂しさに耐えられなくて、いつかお互いを疑って、傷つけ合って、最悪の別れを迎えていたかもしれない)
恋人になれば、いつか必ず終わりの日が来る。
あのゲリラ豪雨の夏が過ぎ、あっという間に秋の文化祭が終わり、気付けば教室の窓の外には、冷たい冬の青空が広がっている。
3年生の冬。
進路が決まり、もう学校に来る日数も残り少なくなった放課後、私は翼と2人で、誰もいない図書室の窓際の席にいた。
ストーブの静かな微熱だけが満ちている静寂の中で、翼はノートにシャープペンシルを走らせる手をふと止めて、外を見つめた。
「……なぁ、アミ。春からさ、俺、東京の大学に行くことになったわ」
翼の口から静かに告げられたその言葉に、私の指先が、小さく震えた。
分かっていた。翼が東京の大学を目指して、ずっと夜遅くまで必死に勉強していたことも、私が地元の短大に残ることも、全部、最初から分かっていたはずなのに。
「そっか……! すごいじゃん、翼! ずっと行きたがってたもんね、おめでとう」
私は、喉の奥に込み上げてくる強烈な寂しさを、いつもの笑顔の仮面で強引に押し殺して、彼を祝福した。
東京と、地元。
春からは、もう毎日の放課後に、こうして当たり前のように隣にいることはできなくなる。
(寂しいよ。行かないで。私の届かないところへ、遠くへ行っちゃうなんて嫌だ――)
心の中で、何百回も、何千回も、そんなワガママな独占欲が叫び声をあげて、私の胸を激しくかきむしる。
だけど、次の瞬間、私の頭の中に、いつか2人で約束したあの言葉が、静かなブレーキとして鳴り響いた。
(いいんだ。これで、いい。もし私たちが普通の恋人同士だったら、この遠距離恋愛の寂しさに耐えられなくて、いつかお互いを疑って、傷つけ合って、最悪の別れを迎えていたかもしれない)
恋人になれば、いつか必ず終わりの日が来る。