アオハル×フラグ=恋。
次の日の朝。

菜々子は朝の通勤ラッシュと丸かぶりしたぎゅうぎゅうの電車に乗っていた。

端の方。

連結部の隅に小さくなって立つ。


昨日の事が頭から離れない。


痴漢。


思い出すだけで身体が強張る。


やっぱり怖い。


愛華達にも相談できなかった。


「憂鬱だなぁ……」


無意識に言葉が漏れる。


昨日の事があるからなのか。


それとも。


また劣等感を抱きながら学校へ行かなければならないからなのか。


菜々子自身にも分からなかった。


颯斗「ネガティブな発言はダメだよ、菜々子ちゃん」


「ほえ?」


聞き覚えのある声。


顔を上げる。


そこには。


昨日の助けてくれた


小鳥遊颯斗が立っていた。


「うわっ!昨日の!」


颯斗「いやいや、悪者みたいな言い方!」


颯斗はケラケラ笑う。


「なっ、なんですか?」


菜々子は引き気味に颯斗を見る。

颯斗「いや、菜々子ちゃん、可愛いなって思って」

菜々子「~~~~っ///」

菜々子「はっ、なっ、何言って、」

自分でわかるくらい顔が赤くなっていく

颯斗「本当の事は伝えていかないとね。」

颯斗はまたニコリと笑う。

「いや、私なんか、その辺のモブのモブのモブなんだから、可愛いとかないから!」

菜々子は顔を下に向ける。

そして癖で、髪で顔を隠す仕草。

颯斗「いや、ほら、絶対可愛いよ」

そういって、菜々子の前髪を人差し指であげる。


その瞬間。


────パシッ!


「やめてよ!!」


電車内に声が響く。


乗客達が一斉に振り向く。


「私なんか可愛いわけないじゃん!」


「からかうなら向こう行ってよ!」


菜々子の声が震える。


怒っているのか。


泣きそうなのか。


自分でも分からない。


ただ。


ずっと溜まっていたものが溢れていた。


「私なんか……」


────ポタッ


涙が落ちる。


颯斗の顔から笑顔が消える。


颯斗「菜々子ちゃん……」


「昨日の事は感謝してる。」


鼻をすすりながら言う。


「でも。」


「もう会うこともないよね。」


「ありがとう。」


「じゃあね。」


菜々子は人混みをかき分ける。


そして。


逃げるように別の車両へ移動した。
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